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「週刊新潮」掲載 来年1月「マイナンバー」は敵か味方か?

週刊新潮2015年7月2日号に北見昌朗の記事が掲載 週刊新潮中吊り

「週刊新潮」(2015年7月2日号)『来年1月「マイナンバー」は敵か味方か?』に、北見昌朗のオピニオンが掲載されました。以下は北見昌朗のコメント部分です。
お読み下されば幸いです。

あえぐ中小企業

悪い知らせどころか悪夢のような現実がやってきそうなのが、社会保険料を誤魔化してきた人たちである。

社会保険労務士で「北見式賃金研究所」の北見昌朗所長は、

「安倍さん(晋三首相)が国会で答弁しているように、マイナンバー導入の目的のひとつに、社会保険料の徴収強化があります」

としたうえで、内情をこんな風に打ち明ける。

「これまで実際、日本年金機構の上に立つ会計検査院は、各事業所に対する実地調査を厳しく行なってきました。それでも『社会保険不払い』の全体像を把握するには至らなかった。それが、マイナンバーと法人番号によって、『給与から所得税を源泉徴収しているにもかかわらず、社会保険に加入していない法人』を、それこそ瞬時にあぶり出すことができる。そのうえ、社長個人やその親族の預金残高をもつかめるようになるから、これは大変な武器ですよ」

とりもなおさず、摘発対象リストの出来上がりというわけだ。それで、どれほどの徴収増が見込めるのか。

「国税庁などのデータによると、すべての労働者の所得合計は200兆円です。これに対して、厚生年金加入者の所得は149兆円で、その差額51兆円が、『厚生年金未加入者の年間所得』となる。社会保険料は年収の3割なのでこの51兆円に0.3を掛けて15兆円。厚生年金に入るべき人は、少なく見積もってもこの半分はいると私は見ている。したがって、政府が取りはぐれている社会保険料は7.5兆円と試算できるのです」(同)

ただ、「それにしても……」と渋面をつくって、こう言葉を継ぐのだ。

「社会保険料を支払っていない事業所の多くは中小企業。つまり、アベノミクスの恩恵などほとんど受けていないのです。法律に基づき、過去2年に遡って社会保険料を徴収し始めたら、倒産が続出する可能性すらありますよ」

となると、保険料の徴収増など望むべくもない

あくまでも仮の話だが、契約企業すべてから「5万円~コース」を受注したとすると、翌年セコムに入るのは約1120億円。これは、直近売上高の3分の1に匹敵するほどの数字だ。

続いて先の北見氏は、日本郵便の名をあげる。

「通知カードが簡易書留で送付されることになっていて、この売上だけでざっと216億円となります」

むろん、それは特需の一部でしかない。

「企業が退職者に対して離職票や源泉徴収票を郵送するときにも、書留を使うはず。それによって、年間にして数千億円レベルで業績を底上げする効果がある。マイナンバーのガイドラインには、『追跡可能な輸送手段で送りなさい』と書かれています。もし、普通郵便を使って事故が起きて個人情報が漏れた場合、送り主は懲役刑などの罰則を受けることになる。だから、書留が選ばれるのです」