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「マイナンバー」で日本は大不況になる 2

アルバイトが会社にバレる

一方で、弊害も指摘されています。取り沙汰されるのは、個人情報の漏えいによるプライバシー侵害や、成りすましによる悪用の危惧です。マイナンバーを知られてしまうだけで、集積された個人情報がごっそり盗まれる恐れがあるからです。

しかし実は、ほかにもさまざまな問題や運用上の疑問が、すでに生じています。そのいくつかを身近なところから順にQ&Aで説明していきます。

Q1 中小企業に勤めるサラリーマンですが、子供の学費のため、会社に黙って、深夜のコンビニでアルバイトをしています。マイナンバー制度になると、アルバイトは会社にバレますか?

A1
サラリーマンの場合、扶養家族全員の分も含むマイナンバーを、勤務先に提出しなければなりません。副収入がある場合には、確定申告も行なう必要があります。住民税の支払いに際し、給料に副収入を合算した額が元になるので、会社には副業がバレます。確定申告を行なわなければ、税務署から所得税の追徴が来ます。マイナンバーはアルバイト先にも提出しなければならないので、税務署は簡単に調べられるのです。

確定申告については、平成28年度分(29年に申告)から、申告書にマイナンバーを記載することが義務づけられます。つまり来年度から、国民の収入は完全なガラス張りになるわけです。

夜間や休日にコンビニや飲食店でアルバイトするサラリーマンや、水商売や風俗で働くOLの中には、辞めざるを得なくなる人も出るでしょう。こうした業界では人手不足に陥り、夜の盛り場などは寂れていくかもしれません。

Q2 我々の個人情報は、本当に守られるのでしょうか? また、役人にすべての情報を握られるのは不安なのですが。

A2
残念ながら、保証はないというほかありません。便利さと脆さは、表裏一体だからです。

後で詳しく述べますが、この制度では非常に厳しいセキュリティの義務を事業所に課しています。それを完全に実施したとしても、プロの泥棒の侵入を防ぐことはできないでしょう。役所や企業に侵入してパソコンを盗めば、パスワードがかかっていても解除は簡単だと言われます。

サイバーテロなどの事例を見ても、コンピューターへのハッキングは、国の機関でさえ防ぎ切れないのですから、民間企業に完璧な防止策などありません。

また、番号法は、公務員がマイナンバーを使って個人情報を得る用途を限定しています。しかし現実はどうなのか、という疑問は拭えません。

今年3月に大阪市は、戸籍情報システムに不正接続して著名人などの戸籍を検索・閲覧した職員に対し、停職や減給の処分を行ないました。その職員の数、なんと57人。監督責任があった管理職131人にも、訓告などの処分が下りました。閲覧対象には橋下徹市長の戸籍も含まれていました。不正アクセスの動機は「興味本位」というもので、大阪市は「第三者への情報提供はなかった」としていますが、はたしてどうでしょうか。

公務員が役所のパソコンにマイナンバーを打ち込むだけでヒットする個人情報は、膨大です。闇の勢力が入手しようとすれば、以前よりずっと高い金額を提示するはず。懲役+罰金とその提示額を秤にかけたとき、目がくらんでしまう公務員が出てこない保証などあるでしょうか。「役人は信用できる」などというのは、政府の幻想にすぎません。

Q3 米国や韓国では、他人のナンバーを盗んで、その人に成りすます詐欺事件が多発しているようですが、日本では大丈夫なのですか?

A3
冒頭に紹介した内閣官房のHPでは、

〈海外の成りすましの事案は、番号のみでの本人確認や、番号に利用制限がなかったこと等が影響したと考えられるため、日本の番号制度では、厳格な本人確認の義務付けや、利用範囲の法律での限定などの措置を講じています〉

と説明していますが、安心はできません。

懸念は、情報の漏えいや成りすましばかりではありません。個人情報として書き込まれた内容が、事実に反することはないのか。役所の担当職員が番号を打ち間違え、確認作業でもミスが重なれば、別人の情報が書き込まれてしまう事態が起こり得るのです。

したがって、自分の情報がどうなっているのか確認する権利と機会を、国民は与えられなければなりません。政府は、「どの役所で、どんな立場の役人が、どんな個人情報にアクセスできるのか?」を進んで明らかにすべきです。

同じ内閣官房のHPには、

〈マイナンバーを使って自分の個人情報がどのようにやりとりされているか、ご自身で記録を確認いただける手段として、平成29年1月から「情報提供等記録開示システム」が稼働する予定です〉

とあります。スタートから一年遅れで始まるばかりか、〈システムの機能の詳細は検討中です〉とあります。また、確認した後に異議や苦情を申し立てたときは、どう対処してもらえるのでしょうか。ここもはっきりしません。制度上欠かせない条件だと思われるのに、見切り発車なのです。

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